デンソー、連結売上5.3%増 車両販売増が寄与 CORE 2030で3本柱を提示
株式会社デンソーは2026年6月11日、第103期の有価証券報告書を提出しました。2025年4月1日から2026年3月31日までの連結業績、地域別セグメント、キャッシュ・フロー、CORE 2030、資本政策、リスク項目を整理します。
記事の要点
- 連結売上は7,540,000百万円で前年度比5.3%増、営業利益は552,500百万円で同6.5%増でした。
- 地域別では、日本の連結営業利益が185,900百万円で前年度比15.7%減となる一方、北米は132,300百万円で同34.9%増、欧州は27,800百万円で同221.3%増、アジアは178,800百万円で同5.5%増でした。
- 営業活動による資金は511,000百万円で、前年度の758,700百万円から247,700百万円減少しました。
- 会社は2026年3月31日に、2030年に向けた中期経営計画「CORE 2030」を発表し、成長戦略の3つの柱で事業成長を加速させる方針を示しました。
- 資本政策では、当事業年度の年間配当を1株につき67円、DOEを3.5%とし、2030年度DOE4.0%以上を目指す方針を掲げています。
- アジア子会社について、のれん、顧客関連資産及び技術関連資産の減損損失6,412百万円を計上しました。
数字の背景と確認点
業績数値と会社説明を分けて、次回開示で追う論点を整理します。
セグメント別業績
地域別セグメント
日本の連結売上は4,404,100百万円で前年度比4.5%増、営業利益は185,900百万円で同15.7%減でした。北米の連結売上は2,025,100百万円で前年度比8.7%増、営業利益は132,300百万円で同34.9%増でした。欧州の連結売上は767,900百万円で前年度比6.8%増、営業利益は27,800百万円で同221.3%増でした。アジアの連結売上は1,976,900百万円で前年度比1.9%増、営業利益は178,800百万円で同5.5%増でした。会社は、日本の営業利益について、合理化努力があるものの、部材費高騰や人への投資増加の影響等により減少したとし、北米の営業利益については米国関税の影響があるものの、合理化努力や一過性の費用回収により増加したとしています。
日本セグメントの営業利益率と費用要因の推移。 北米の一過性の費用回収と米国関税影響の次期反映。
キャッシュフロー
営業キャッシュ・フロー減少の内訳
現金及び現金同等物は、投資活動で16,900百万円減少、財務活動で355,000百万円減少したことなどにより、前連結会計年度比202,600百万円増の1,189,100百万円となりました。営業活動により得られた資金は511,000百万円で、前年度の758,700百万円から247,700百万円減少しました。投資活動により使用した又は得られた資金は、前年度の121,900百万円増加に対し、16,900百万円減少となりました。会社は、営業活動により得られた資金の減少について、税引前利益が増加した一方、仕入債務の増減額の減少や法人所得税の支払額の増加等があったとしています。
営業活動による資金の減少幅と仕入債務・法人所得税支払額の動き。次回以降は連結営業CF・投資CF・財務CFの推移を確認します。
重要な事象
減損損失
一部の地域の事業環境が依然厳しく、当初想定していた収益が見込めなくなったことから、アジア子会社ののれん、顧客関連資産及び技術関連資産について減損損失6,412百万円を計上しました。この減損損失は連結損益計算書の「その他の費用」に含まれ、回収可能価額は使用価値により測定し、見積将来キャッシュ・フローの算出に使用した割引率は11.76%です。
アジア子会社の収益見込みと追加減損の有無。次回以降は一時的な発生事象の推移を確認します。
ガバナンス
株主還元と資本政策
当事業年度の期末配当は1株につき35円、中間配当を含めた年間配当は1株につき67円、DOEは3.5%でした。当期間における取得自己株式は184,897,667株、313,586,443,232円でした。会社は、配当にDOEを株主還元指標として採用し、2030年度DOE4.0%以上を目指すほか、設備投資、研究開発、M&A等にキャッシュを投入しながら、機動的に自己株式を取得する方針です。
DOE4.0%以上に向けた配当水準と自己株式取得の実施状況。
事業等のリスク
主なリスク項目
事業等のリスクでは、円高が日本で生産し輸出する事業の相対的な価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があるとしています。気候変動によるリスクでは、燃費・排ガス規制や電動化の拡大に現行製品が適切に対応できない場合の販売機会喪失、サイクロンや洪水などの物理リスクを挙げています。会社は、移行リスクについてサーマルシステム事業やパワトレインシステム事業等で研究開発の加速と得意先への提案を進め、物理リスクについては気象災害対策や購入先の複数社化に取り組む方針です。
気候変動リスクへの研究開発・サプライチェーン対応の進捗。
開示内容の整理
連結業績
当連結会計年度の売上は、車両販売の増加により7,540,000百万円となり、前年度比378,200百万円増、5.3%増でした。連結営業利益は552,500百万円で前年度比33,600百万円増、6.5%増、税引前利益は617,300百万円で同39,300百万円増、6.8%増でした。
- EDINET原本 PDF 34ページ
財政状態
資産は前連結会計年度末比605,900百万円増の8,730,900百万円、負債は同78,900百万円増の3,015,000百万円、資本は同526,900百万円増の5,715,800百万円でした。
- EDINET原本 PDF 34ページ
地域別セグメント
日本の連結売上は4,404,100百万円で前年度比4.5%増、営業利益は185,900百万円で同15.7%減でした。北米の連結売上は2,025,100百万円で前年度比8.7%増、営業利益は132,300百万円で同34.9%増でした。欧州の連結売上は767,900百万円で前年度比6.8%増、営業利益は27,800百万円で同221.3%増でした。アジアの連結売上は1,976,900百万円で前年度比1.9%増、営業利益は178,800百万円で同5.5%増でした。
- EDINET原本 PDF 34ページ
キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物は、投資活動で16,900百万円減少、財務活動で355,000百万円減少したことなどにより、前連結会計年度比202,600百万円増の1,189,100百万円となりました。営業活動により得られた資金は511,000百万円で、前年度の758,700百万円から247,700百万円減少しました。投資活動により使用した又は得られた資金は、前年度の121,900百万円増加に対し、16,900百万円減少となりました。
- EDINET原本 PDF 36ページ
減損損失
一部の地域の事業環境が依然厳しく、当初想定していた収益が見込めなくなったことから、アジア子会社ののれん、顧客関連資産及び技術関連資産について減損損失6,412百万円を計上しました。この減損損失は連結損益計算書の「その他の費用」に含まれ、回収可能価額は使用価値により測定し、見積将来キャッシュ・フローの算出に使用した割引率は11.76%です。
- EDINET原本 PDF 120ページ
株主還元と資本政策
当事業年度の期末配当は1株につき35円、中間配当を含めた年間配当は1株につき67円、DOEは3.5%でした。当期間における取得自己株式は184,897,667株、313,586,443,232円でした。
- EDINET原本 PDF 45ページ
- EDINET原本 PDF 47ページ
事業構成と中期計画
連結会社は、株式会社デンソー及び子会社190社、関連会社62社で構成されています。連結会社は「日本」「北米」「欧州」「アジア」「その他」の各セグメントで製品を製造・販売しています。
- EDINET原本 PDF 6ページ
主なリスク項目
事業等のリスクでは、円高が日本で生産し輸出する事業の相対的な価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があるとしています。気候変動によるリスクでは、燃費・排ガス規制や電動化の拡大に現行製品が適切に対応できない場合の販売機会喪失、サイクロンや洪水などの物理リスクを挙げています。
- EDINET原本 PDF 30ページ
- EDINET原本 PDF 32ページ
確認しておきたいポイント
- 日本セグメントの営業利益率と費用要因の推移
- 北米の一過性の費用回収と米国関税影響の次期反映
- 営業活動による資金の減少幅と仕入債務・法人所得税支払額の動き。次回以降は連結営業CF・投資CF・財務CFの推移を確認します。
- アジア子会社の収益見込みと追加減損の有無。次回以降は一時的な発生事象の推移を確認します。
- DOE4.0%以上に向けた配当水準と自己株式取得の実施状況
- 気候変動リスクへの研究開発・サプライチェーン対応の進捗
まとめ
- 今回の連結業績は、売上7,540,000百万円、営業利益552,500百万円となり、車両販売の増加、合理化努力、操業度の良化が会社説明の中心です。
- 地域別では、日本の連結営業利益が前年度比15.7%減となった一方、北米、欧州、アジアはいずれも営業利益が増加しており、地域ごとの採算要因が分かれました。
- 営業活動による資金は511,000百万円に減少し、投資活動では16,900百万円の減少、財務活動では355,000百万円の減少となりました。
- CORE 2030、DOE4.0%以上を目指す資本政策、アジア子会社の減損損失6,412百万円が、次回以降もつながりを追う論点です。