ヤマトHD、連結営業収益5.8%増 宅急便取扱数量拡大が一因
ヤマトホールディングス株式会社が2026年6月12日に提出した有価証券報告書について、2025年4月1日から2026年3月31日までの連結業績、セグメント、財政状態、キャッシュ・フロー、中期経営計画の見直しを整理します。
記事の要点
- 当連結会計年度の営業収益は1,865,675百万円で前連結会計年度比5.8%増、営業利益は28,304百万円で99.2%増、親会社株主に帰属する当期純利益は13,662百万円で64.0%減でした。
- 会社は、営業収益の増加について、宅急便取扱数量の拡大、大口法人向けプライシングの適正化、法人向けビジネスの拡大など、収益構成の変革に向けた取組みの進展によるものとしています。
- セグメントでは、コントラクト・ロジスティクス事業の外部顧客への営業収益が164,602百万円で69.6%増となり、会社は株式会社ナカノ商会の連結子会社化や2025年10月の福島県郡山市での統合型ビジネスソリューション拠点開設を示しています。
- 総資産は1,280,170百万円、負債は698,113百万円、純資産は582,057百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の46.5%から44.6%になりました。
- 連結営業活動によるキャッシュ・フローは72,218百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは7,270百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは37,073百万円の支出でした。
- 2026年5月14日の取締役会で、2026年9月1日付で保有するヤマトクレジットファイナンス株式会社のすべての株式を譲渡することが承認され、同社は子会社ではなくなる予定です。
数字の背景と確認点
業績数値と会社説明を分けて、次回開示で追う論点を整理します。
業績ハイライト
営業収益の増加理由
当連結会計年度の営業収益は1,865,675百万円となり、前連結会計年度に比べ102,979百万円増加しました。営業利益は28,304百万円となり、前連結会計年度に比べ14,098百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は13,662百万円となり、前連結会計年度に比べ24,275百万円減少しました。会社は、営業収益の増加について、宅急便部門が向き合う小口法人・個人顧客からの宅急便取扱数量の拡大、大口法人顧客に対するプライシングの適正化、法人向けビジネスの拡大など、収益構成の変革に向けた取組みが進展したためとしています。会社は、営業費用の増加について、人的資本への投資、集配拠点の再配置などのネットワーク投資、調達単価の上昇などによるものとし、一方で輸送領域のオペレーション見直しとコストコントロールに注力したとしています。会社は、親会社株主に帰属する当期純利益について、資産の流動化や政策保有株式の売却を継続したものの、前連結会計年度に本社ビル等の大型セール・アンド・リースバックに伴う特別利益を計上した反動などにより減益になったとしています。
営業収益増と営業費用増の差額の推移。確認対象は連結売上・連結利益です。事業別の変化も確認します。
セグメント別業績
セグメント別の動き
エクスプレス事業の外部顧客への営業収益は1,557,978百万円で前連結会計年度比1.5%増、営業利益は2,299百万円で15,198百万円増加しました。コントラクト・ロジスティクス事業の外部顧客への営業収益は164,602百万円で前連結会計年度比69.6%増、営業利益は6,217百万円で634百万円増加しました。グローバル事業の外部顧客への営業収益は97,552百万円で前連結会計年度比13.5%増、営業利益は8,150百万円で877百万円減少しました。モビリティ事業の外部顧客への営業収益は22,033百万円で前連結会計年度比7.5%増、営業利益は前連結会計年度に比べ増加しました。会社は、エクスプレス事業で、2025年10月の宅急便届出運賃改定、2025年11月の宅急便当日配送サービス開始と同一都道府県内運賃の新設、「置き配」サービスの提供拡大、「こねこ便420」の沖縄県を除く全国での拡販を進めたとしています。会社は、コントラクト・ロジスティクス事業で、連結子会社化した株式会社ナカノ商会のノウハウも活用し、2025年10月に福島県郡山市へ統合型ビジネスソリューション拠点を開設したとしています。
コントラクト・ロジスティクス事業の増収率と新規案件・子会社化の関係。 グローバル事業の増収と営業利益減少の組み合わせ。次回以降はセグメント別売上・利益の推移を確認します。
財政状態
財務目安と株主還元方針
総資産は1,280,170百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,742百万円増加しました。負債は698,113百万円となり、前連結会計年度末に比べ31,035百万円増加しました。純資産は582,057百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,293百万円減少しました。自己資本比率は前連結会計年度末の46.5%から44.6%となりました。会社は、財務の健全性の観点から自己資本比率45%程度、D/Eレシオ0.3〜0.5倍程度を目安とし、株主還元では親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上を目標にするとしています。
自己資本比率44.6%と財務目安45%程度の位置づけ。次回以降は連結総資産・連結純資産の推移を確認します。
キャッシュフロー
キャッシュ・フローの変化
連結営業活動によるキャッシュ・フローは72,218百万円の収入となりました。連結投資活動によるキャッシュ・フローは7,270百万円の支出となりました。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は237,822百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,765百万円増加しました。
営業活動による収入増と投資・財務活動の支出の内訳。
その他
中期経営計画の見通し見直し
会社は、2027年3月期の連結業績見通しを連結営業収益1,920,000百万円、連結営業利益42,000百万円、連結営業利益率2.2%、ROE4.2%、ROIC3.7%へ見直しました。
2027年3月期見通しの各指標。
開示内容の整理
連結業績
当連結会計年度の営業収益は1,865,675百万円となり、前連結会計年度に比べ102,979百万円増加しました。営業利益は28,304百万円となり、前連結会計年度に比べ14,098百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は13,662百万円となり、前連結会計年度に比べ24,275百万円減少しました。
- EDINET原本 PDF 34ページ
セグメント別の動き
エクスプレス事業の外部顧客への営業収益は1,557,978百万円で前連結会計年度比1.5%増、営業利益は2,299百万円で15,198百万円増加しました。コントラクト・ロジスティクス事業の外部顧客への営業収益は164,602百万円で前連結会計年度比69.6%増、営業利益は6,217百万円で634百万円増加しました。グローバル事業の外部顧客への営業収益は97,552百万円で前連結会計年度比13.5%増、営業利益は8,150百万円で877百万円減少しました。モビリティ事業の外部顧客への営業収益は22,033百万円で前連結会計年度比7.5%増、営業利益は前連結会計年度に比べ増加しました。
- EDINET原本 PDF 35ページ
- EDINET原本 PDF 36ページ
財政状態
総資産は1,280,170百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,742百万円増加しました。負債は698,113百万円となり、前連結会計年度末に比べ31,035百万円増加しました。純資産は582,057百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,293百万円減少しました。自己資本比率は前連結会計年度末の46.5%から44.6%となりました。
- EDINET原本 PDF 38ページ
キャッシュ・フロー
連結営業活動によるキャッシュ・フローは72,218百万円の収入となりました。連結投資活動によるキャッシュ・フローは7,270百万円の支出となりました。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は237,822百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,765百万円増加しました。
- EDINET原本 PDF 38ページ
事業構成
ヤマトグループは、同社と子会社45社、関連会社12社で構成され、「エクスプレス事業」「コントラクト・ロジスティクス事業」「グローバル事業」「モビリティ事業」を主な事業としています。2026年5月14日の取締役会で、2026年9月1日付で保有するヤマトクレジットファイナンス株式会社のすべての株式を譲渡することが承認され、同社は子会社ではなくなる予定です。
- EDINET原本 PDF 6ページ
確認しておきたいポイント
- 営業収益増と営業費用増の差額の推移。確認対象は連結売上・連結利益です。事業別の変化も確認します。
- コントラクト・ロジスティクス事業の増収率と新規案件・子会社化の関係
- グローバル事業の増収と営業利益減少の組み合わせ。次回以降はセグメント別売上・利益の推移を確認します。
- 自己資本比率44.6%と財務目安45%程度の位置づけ。次回以降は連結総資産・連結純資産の推移を確認します。
- 営業活動による収入増と投資・財務活動の支出の内訳
- 2027年3月期見通しの各指標
まとめ
- 今回の有価証券報告書では、営業収益が5.8%増、営業利益が99.2%増となる一方、親会社株主に帰属する当期純利益は64.0%減となりました。
- 会社は、営業収益の増加について宅急便取扱数量の拡大、大口法人向けプライシングの適正化、法人向けビジネスの拡大を挙げ、純利益の減少について前連結会計年度の大型セール・アンド・リースバックに伴う特別利益の反動などを挙げています。
- セグメントでは、コントラクト・ロジスティクス事業が69.6%増収、グローバル事業が13.5%増収ながら営業利益減少となり、事業ごとの採算の違いが次回以降の確認対象になります。
- 財政状態では自己資本比率が44.6%となり、会社が財務目安とする自己資本比率45%程度や、2027年3月期見通しの見直しとあわせて整理する内容です。